TOP

2009年12月25日

1月23日発売! 片山杜秀の本3 クラシック迷宮図書館──音楽書月評1998-2003(片山杜秀著)


本が面白いのか、書評が面白いのか!?──
“本を目方で買う男”が吟味厳選した音楽書籍74冊。
「音楽を語る」という不可能に挑んだ名著・労作・奇書・珍編を、カタヤマが読む! 唸る! 斬る!
日本中の音楽ファンを驚愕させた『音盤考現学』『音盤博物誌』に続く第3弾は、濫読無双のブックガイド!

サントリー学芸賞&吉田秀和賞ダブル受賞の著者、待望の新作。

◎四六判・並製、280頁
◎定価:本体1800円+税
◎発売:2010年1月23日
◎ISBN978-4-903951-27-0 C1073
◎ブックデザイン:下川雅敏

●内容
『レコード芸術』誌に10年間にわたり連載された「片山杜秀のこの本を読め!」のうち、1998年から2003年までの6年間に書かれた計72本の書評に、同時期に書かれた2本のエッセイを加え、単行本化。
音楽書ってこんなに面白かったのか! 好奇心と歓びにあふれた無類のブックガイド。

●目次(カッコ内はとりあげた書籍)
序にかえて──音楽は読むことと見つけたり
音楽なんかやめちゃえ!(パスカル・キニャール『音楽への憎しみ』)
小太鼓/ギロチン、鐘/暴動(アラン・コルバン『音の風景』)
ソナタ形式と父権社会(スーザン・マクレアリ『フェミニン・エンディング』)
一億総人間レーダー化計画のはてに(最相葉月『絶対音感』)
映画音楽論は蛮勇で行け!(小林 淳[著] 井上 誠[共編]『伊福部昭の映画音楽』)
図形楽譜から出直せ!(一柳 慧『音楽という営み』)
右肩下がりの音楽史(ジェイミー・ジェイムズ『天球の音楽』)
うるさい世界の私(ハンナ・メーカ『失聴』)
政男と誉士夫(下嶋哲朗『謎の森に棲む古賀政男』)
神はエレベーターに宿り給う(ジョゼフ・ランザ『エレベーター・ミュージック』)
電子音楽とノスタルジー(田中雄二『電子音楽イン・ジャパン』)
ほんとうは深刻な「お気楽入門書」(許 光俊『クラシックを聴け!』)
アジア・クラシック三都物語(榎本泰子『楽人の都・上海』)
サイボーグはオルガンの夢を見るか(山之口洋『オルガニスト』)
無調と無責任(中野 雄『丸山眞男 音楽の対話』)
癒しとしての総音列主義(カールハインツ・シュトックハウゼン『シュトックハウゼン音楽論集』)
北極圏のピアニスト(ジョン・P.L.ロバーツ+ギレーヌ・ゲルタン[編]『グレン・グールド書簡集』)
ヴァーグナーは悪、ベルリオーズは善(ジャック・バーザン『ダーウィン、マルクス、ヴァーグナー』)
芸術と大量破壊兵器(フリードリヒ・キットラー『グラモフォン フィルム タイプライター』)
黛敏郎をバカにするな!(岩城宏之『作曲家・武満徹と人間・黛敏郎』)
安川加壽子を見くびるな(青柳いづみこ『翼のはえた指』)
ベルリン・オリンピックと「日本人」作曲家(井田 敏『まぼろしの五線譜』)
永遠に根づかない日本オペラ?(佐々木忠次『オペラ・チケットの値段』)
ハルビン、わがふるさと(岩野裕一『王道楽土の交響楽』)
プロテイン音楽革命(深川洋一『タンパク質の音楽』)
ヴァーグナーはグローバリズムに反対する(ヨアヒム・ケーラー『ワーグナーのヒトラー』)
オペラ《丹波與作》の夢と現実(渡辺 裕『宝塚歌劇の変容と日本近代』)
“日本のバーンスタイン”になりそこなった男(山本直純『紅いタキシード』)
武満徹という迷宮(長木誠司+樋口隆一[編]『武満徹 音の河のゆくえ』)
日本音楽と四度音程(山下邦彦『楕円とガイコツ』)
アニメ主題歌は性差別音楽だ?(北川純子[編]『鳴り響く性』)
覆面試聴のススメ(『ザ・ワイアー』(トニー・ヘリントン)[編]『めかくしジュークボックス』)
「楽聖」とガンバリズム(西原 稔『「楽聖」ベートーヴェンの誕生』)
トスカニーニは嫌い、クレンペラーが好き(和田 司『変貌する演奏神話』)
スターリンこそが超前衛である!(ボリス・グロイス『全体芸術様式スターリン』)
グールドはブーレーズと共闘するか(ケヴィン・バザーナ『グレン・グールド演奏術』)
『セロ弾きのゴーシュ』のユートピア(宮澤賢治『賢治の音楽室』)
親分子分と一君万民(兵藤裕己『〈声〉の国民国家・日本』)
劇場国家としての文革期中国(牧 陽一+松浦恒雄+川田 進『中国のプロパガンダ芸術』)
伝統なんて、信じるなよ!(谷本一之『アイヌ絵を聴く』)
踊り踊るならバロック音頭(竹下節子『からくり人形の夢』)
『春琴抄』と座頭市(チチ松村『盲目の音楽家を捜して』)
『ドグラ・マグラ』と〈歓喜の歌〉(半澤周三『光芒の序曲』)
名人芸、または当たりつづける宝くじ(ウラディミール・ジャンケレヴィッチ『リスト』)
パルジファルはブッダの化身(カール・スネソン『ヴァーグナーとインドの精神世界』)
近代日本と海賊版文化(大家重夫『ニッポン著作権物語』)
オーセンティックという虚妄(渡辺 裕『西洋音楽演奏史論序説』)
NHK交響楽団の正体!(岩城宏之『チンドン屋の大将になりたかった男』)
「宇宙の音楽」なんか聞こえない!(ヨハンネス・デ・グロケイオ『音楽論』)
江戸と東京のつなぎ方(小宮多美江『受容史ではない近現代日本の音楽史』)
ブラバンは民衆の音楽だ?(阿部勘一+細川周平+塚原康子+東谷 護+高澤智昌『ブラスバンドの社会史』)
シュニトケはブーレーズを敵視する(アレクサンドル・イヴァシキン[編]『シュニトケとの対話』)
もしも一九三九年に「神」が「降臨」していたとするならば……(横田庄一郎『フルトヴェングラー 幻の東京公演』)
「名器」を弾くと下手になる?(石井 宏『誰がヴァイオリンを殺したか』)
植物と動物と子供とピアノ(ウラディミール・ジャンケレヴィッチ『遙かなる現前』)
見えない神、聴こえない主題(ピエール・ブーレーズ『標柱 音楽思考の道しるべ』)
「近代の超克」と《ドン・ジョヴァンニ》(河上徹太郎『クラシック随想』)
人間よ、ノイズに還れ(勝 道興『音響のオルガノン』)
音のない映画は死物である(ミシェル・シオン『映画の音楽』)
音楽は人の不幸を知るためにある(Th.W.アドルノ『アドルノ 音楽・メディア論集』)
「オレ様」のいない国で(鈴木淳史『不思議な国のクラシック』)
大革命の騒音がベルリオーズの生みの親だ!(アデライード・ド・プラース『革命下のパリに音楽は流れる』)
遅かりし、パイプオルガン(草野 厚『癒しの楽器 パイプオルガンと政治』)
夏至のスサノヲ、冬至のアマテラス(北沢方邦『感性としての日本思想』)
楕円と眩暈(神月朋子『ジェルジ・リゲティ論』)
自由主義・左翼・未来派という三題噺(秋山邦晴『昭和の作曲家たち』)
長崎出島のジャワ人(中村洪介『近代日本洋楽史序説』)
《画家マティス》こそナチ音楽の規範である(マイケル・H.ケイター『第三帝国と音楽家たち』)
挫折のオペラ史(スラヴォイ・ジジェク+ムラデン・ドラー『オペラは二度死ぬ』)
「女流」と「騒音」(ポーリン・オリヴェロス『ソフトウェア・フォー・ピープル』)
神の子、ブラームス!?(アーサー・M.アーベル『我、汝に為すべきことを教えん』)
音楽はなにも表現しないと、竹林の七賢は言った(嵆康『声無哀楽論』)
『音楽入門』とその時代(伊福部昭『音楽入門』)
耳の小説、反復の小説(内田百閒『サラサーテの盤』)
あとがき
人名索引

●著者プロフィール
片山杜秀(かたやま・もりひで)
音楽評論家、思想史研究者。1963年仙台生まれ。東京で育つ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。専攻は政治学。著書に『音盤考現学』『音盤博物誌』(アルテスパブリッシング)、『近代日本の右翼思想』(講談社選書メチエ)、共著書に『伊福部昭の宇宙』(音楽之友社)、『日本主義的教養の時代』(柏書房)など。朝日新聞、産経新聞、『レコード芸術』『CDジャーナル』等で音楽評を執筆。『週刊SPA!』に1994年から2003年までコラム「ヤブを睨む」を連載。200枚以上のCDのライナー・ノートを手がけ、またCDレーベル、ナクソスの「日本作曲家選輯」の企画構成を担当。2006年日本近代音楽研究の業績により京都大学人文科学研究所から人文科学研究協会賞を、2008年『音盤考現学』および『音盤博物誌』が第18回吉田秀和賞、第30回サントリー学芸賞を受賞。慶應義塾大学法学部准教授。国際日本文化研究センター客員准教授。
著者ブログ:片山杜秀的日常

●関連情報(書評/イヴェントほか)
クラシック迷宮図書館

●関連商品
片山杜秀の本1 音盤考現学
片山杜秀の本2 音盤博物誌


2010年01月24日

田中雄二さんが『クラシック迷宮図書館』を紹介してくださいました

音楽ライターで編集者の田中雄二さんが『クラシック迷宮図書館』を、ご自身のブログで紹介してくださいました。

田中さんといえば、『週刊SPA!』の編集者にして、『電子音楽in JAPAN』などの著者でもある方。同書は『クラシック迷宮図書館』にもとりあげられているのですが、雑誌掲載のずいぶんあとで片山さんが書評していたことを知り、今回はじめて読むことができたとのこと。お役にたててよかったです。

以下、ちょっと長いですが、田中さんのブログから引用させていただきます:

正統派のクラシックから、現代音楽、映画音楽、ミューザック、フェニミズム関連、ナチズム関連と、本人はそれほど意図したわけではないだろうが、取り上げる音楽傾向は『レコード芸術』という連載誌から考えると、かなりレンジが広い。書式もシリアスなものや落語風と一見バラバラなのだが、どれも均等に面白く仕上げているところが、「片山杜秀の本」シリーズ全体を通して感じる片山マジックなんだよな。多くの音楽書を取り上げて、そこに著者が読み解くのは、音楽家の思想、人間性。先日、2月に出る別冊文藝の「加藤和彦」の特集号に長い論文を書いたばかりなのだが、人物と作品の関わりについて、その執筆時期に集中して考えることがあったから、ワタシは片山氏が音楽分析をするときの、作曲者への優しい眼差しに心打たれる。運悪く駄作が生まれるときというのは、芸術家なら誰しもあって、そういうときの作者の心理状態をきちんと分析してくれる。その博識はやはり、歴史あるクラシックを語るときに見事に表れるんだけど、そんなレトリックがポピュラー評論においても十二分に発揮されるのが、片山杜秀ワールド。

田中さん、愛情たっぷりの「書評」をありがとうございました!

[木村]

2010年01月26日

飯尾洋一さんが『クラシック迷宮図書館』を紹介してくれました

音楽ライターの飯尾洋一さんがブログで『クラシック迷宮図書館』を紹介、絶賛してくれました。

音楽書の書評というものがこんなにおもしろくなるものなのかと改めて驚愕。しかも読みやすい。こういうものが雑誌連載で成立してたっていうのはいろんな意味で奇跡的なことだろう。対象となる本を超越して、書評それ自体がワクワクしながら読める。理想。

飯尾さんも書いておられるように、「ひたすら「書評」という記事のおもしろさを求め、片山さんに書きたいものを書いてもらうことを優先させ、毎月毎月まとまった字数で他社本を評し続けた」『レコード芸術』編集部には感謝のひとことです。よくぞ10年も続けてくださいました!

「単行本として読んでみると、さらに切れ味が増しているような気がする」。これもうれしい一言。雑誌の1コーナーとして読むのと、片山さんの本としてまとめて読むのとでは、入ってくる内容がちがうはずですから。

[木村]

2010年01月28日

『クラシック迷宮図書館』がツイッターで話題に!

発売からほぼ1週間たった『クラシック迷宮図書館』ですが、ツイッター上では早くも「面白い!」「TL(タイムライン)にあおられて買ってしまった」などなど、さまざまな感想が飛び交っています。作家の高橋源一郎さんが「面白すぎて、仕事にならない」とつぶやいてくださったのは既報のとおり。

というわけで、「twitter検索」というサービスを使って、『クラシック迷宮図書館』関連のツイートを集めてみました。
http://pcod.no-ip.org/yats/search?query=%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E8%BF%B7%E5%AE%AE%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8

アルテスのアイコンは鈴木と木村のツイートです。よかったらフォローしてみてください。

[木村]

2010年02月02日

ミュージックバードで『クラシック迷宮図書館』関連番組

衛星デジタルラジオ、ミュージックバードに片山杜秀さんが出演し、『クラシック迷宮図書館』が紹介されます。放送日時などは以下のとおり。

「トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ」
テーマ:音楽は読むことと見つけたり
ゲスト:片山杜秀 聴き手:田中美登里

2月28日(日)10:00〜11:00 ミュージックバード cross culture
2月27日(土)5:00〜6:00 FM仙台
2月27日(土)28:00〜29:00 FM静岡
2月28日(日)21:00〜22:00 ミュージックバード THE CLASSIC
[再放送]3月6日(土)15:00〜16:00 ミュージックバード THE CLASSIC
問合せ:03-3261-8180 ミュージックバード

なお、ミュージックバードを聴くには、専用のチューナーとアンテナが必要です。詳細は以下。

MUSICBIRDは TOKYO FMグループの超高音質CS衛星デジタルラジオ。 クラシック、ジャズ、KAYO-ENKAなどジャンル別に10のチャンネルがあり、 これを聴くには専用のチューナーとアンテナが必要。 ただ今、チューナーとアンテナを無料でレンタルする 「PCM Fun Club」の会員募集中 http://www.musicbird.jp/ http://www.musicbird.jp/musicbird/ch_all.html
[木村]

2010年02月04日

青山ブックセンター六本木店にて片山杜秀さんのトークショーがおこなわれます


来る2/18(木)、青山ブックセンター六本木店にて、片山杜秀さんのトークショーが開催されます。題して「クラシックと活字の森へ」。「音楽書を読む愉しみ」をとことん語っていただきます。イヴェントの詳細は以下。

片山杜秀『クラシック迷宮図書館』刊行記念トークショウ 「クラシックと活字の森へ──案内人・片山杜秀」 http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_201002/2010218.html

■2010年2月18日(木) 19:00〜
■会場:青山ブックセンター六本木店 店内2階
■入場料:無料

■ご参加方法:青山ブックセンター六本木店の店頭、もしくはお電話にてご参加のご予約を承ります。当日のトークイベント終了後、片山杜秀さんのサイン会を予定しております。あわせてご参加ください。
■電話予約&お問い合わせ電話:青山ブックセンター六本木店  03-3479-0479
■受付時間: 月〜土・祝 10:00 〜 翌朝5:00 / 日 10:00 〜 22:00

<イベント内容>
クラシック迷宮図書館』刊行を記念いたしまして、著者の片山杜秀さんをお招きいたしまして、トークショウを開催いたします。本書に挙げられた音楽書籍のお話からひろがって、「音楽を語る」という不可能にとことん挑んでいただきます。クラシック音楽ファン必見のイベントです。

なお、同店では『クラシック迷宮図書館』の発刊を記念して、同書の書評の対象となった本を一同に集めてフェアを開催中です。片山さんの書評を読んで、「この本、ぜひ読んでみたい!」と思った方、この機会をぜひご利用ください。

[木村]


2010年02月07日

青山ブックセンター六本木店にて『クラシック迷宮図書館』フェア開催中!

青山ブックセンター六本木店にて、片山杜秀さんの新刊『クラシック迷宮図書館』発売を記念したフェアが開催中です。本書で書評されている本を中心に、音楽書がズラリと並ぶ本棚は壮観です! 書評で気になったアノ本やコノ本を、お手にとってご覧ください。

デザイナー戸塚泰雄さんが、『クラシック迷宮図書館』でとりあげられた本の書影をあしらって、フェアのパネルを作ってくださいました。

また、既報のとおり、2/18(木)には片山さんのトークショウも開かれます。なにやら片山さん秘蔵の(?)音楽書も飛び出すとの噂も。ぜひお運びください!

詳細は以下のとおりです。

[松岡]

片山杜秀『クラシック迷宮図書館』刊行記念トークショウ「クラシックと活字の森へ──案内人・片山杜秀」
http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_201002/2010218.html
■2010年2月18日(木) 19:00〜
■会場:青山ブックセンター六本木店 店内2階
■入場料:無料
■ご参加方法:青山ブックセンター六本木店の店頭、もしくはお電話にてご参加のご予約を承ります。当日のトークイベント終了後、片山杜秀さんのサイン会を予定しております。あわせてご参加ください。
■電話予約&お問い合わせ電話:青山ブックセンター六本木店  03-3479-0479
■受付時間: 月〜土・祝 10:00 〜 翌朝5:00 / 日 10:00 〜 22:00

<イベント内容>
『クラシック迷宮図書館』刊行を記念いたしまして、著者の片山杜秀さんをお招きいたしまして、トークショウを開催いたします。本書に挙げられた音楽書籍のお話からひろがって、「音楽を語る」という不可能にとことん挑んでいただきます。クラシック音楽ファン必見のイベントです。

2010年02月12日

ジュンク堂新宿店で『クラシック迷宮図書館』刊行記念フェア開催中!


7Fの東側エレベーターの扉が開くと、『迷宮図書館』の世界が!

ジュンク堂書店新宿店にて、片山杜秀さんの『クラシック迷宮図書館』の刊行を記念してのフェアが開催されています。

同書でとりあげられた音楽書の数々が、棚にずらり。ところどころに、本のもとになった『レコード芸術』の連載「片山杜秀のこの本を読め!」のコピーが貼ってあるところは、さすが“片山フリーク”の松岡さん(同店芸術書担当)。「『クラシック迷宮図書館』、すごく売れてるんですが、買っていかれるのは男性ばかりなんですよ」(笑)。「クラシック女子」のみなさん、この機会にぜひお運びを!

棚のお隣ではscholaのフェアが展開されていて、ジュンク堂新宿店7階は“音楽書が熱い”ことになってます。フェア開催は2月末までの予定です。

[木村]


2010年02月25日

片山杜秀さん、ラジオで朗読の巻


スタジオのなかの片山杜秀さん(左)と田中美登里さん(右)

すでにお伝えしたとおり、高音質CS衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」で、『クラシック迷宮図書館』をテーマに番組が放送されることになりました。もちろんゲストは片山杜秀さん。

昨日はその収録日で、アルテス木村もTOKYO FMのスタジオに途中からお邪魔しました。ラジオの収録やスタジオそのものがものめずらしく、完全にお上りさん気分でしたが、片山さんの声の魅力をあらためて認識。聴き手の田中美登里さんも「いい声よね〜」とほれぼれとしていらっしゃいました。

圧巻は片山さんの朗読! 最相葉月さんの『絶対音感』を書評した「一億総人間レーダー化計画のはてに」と題した章をまるごと片山さんの声で聴けるのですが、本をお読みになった方ならおわかりのとおり、あの章は「先生」と「学生」の対話篇になっています。それを片山さんが語り分ける(というより、演じわける)のです。これは一聴の価値ありです。木村は聴くことができませんでしたが、田中さんが「姐さん」、片山さんが「チンピラ」の掛け合いで、マクレアリ『フェミニン・エンディング』を書評した「ソナタ形式と父権社会」も上演(?)されたようです。「ソナタよ、そなたをうらみますぞ!」というオチを、片山さんがどんなふうに読んだのか、聴きたかったなあ……。

抱腹絶倒まちがいなしの1時間、ぜひお楽しみください。番組の詳細は以下のとおりです。

[木村]

トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ
ゲスト:片山杜秀 出演:田中美登里
テーマ:音楽は読むことと見つけたり

2月27日(土) 5:00〜6:00 Date fm(FM仙台)
      28:00〜29:00 K-MIX(FM静岡)
2月28日(日)10:00〜11:00 MUSICBIRD Cross Culture(11−1)

2月28日(日)21:00〜22:00 THE CLASSIC
再放送 3月6日(土)15:00〜16:00  THE CLASSIC

MUSICBIRDはTOKYO FMグループの超高音質CS衛星デジタルラジオ。
クラシック、ジャズなどジャンル別に10のチャンネルがあり、   
これを聴くには専用のチューナーとアンテナが必要。
お問合せは03-3261-8180
http://www.musicbird.jp/


2010年03月04日

3/25 片山杜秀さんと横川理彦さんのトークセッションをおこないます!

アルテスでは、1月の『クラシック迷宮図書館』にひきつづき、今月下旬に『続・クラシック迷宮図書館』を刊行します。この2冊で、片山杜秀さんの「音楽書書評集成」がひとまず完結。それを記念して、ジュンク堂書店新宿店で横川理彦さんとのトークセッションを開催します。

横川さんはさまざまな分野に才能を発揮するミュージシャンですが、『サウンド&レコーディング・マガジン』で長年続けてらっしゃる音楽書の書評は、いちどに数冊をひとつのテーマで串刺しにするという独特のもの。今回が初顔合わせ、無類の音楽書の読み手・語り手であるおふたりによる「音楽書談義」が楽しみです。詳細は以下のとおりです。

『クラシック迷宮図書館』『続・クラシック迷宮図書館』刊行記念
片山杜秀×横川理彦トークセッション
「音楽は読め!」

3月25日(木)19時開演(18時30分開場)
ジュンク堂書店新宿店8階喫茶室
入場料:1000円(1ドリンク付き)
定員:40名
受付:7Fカウンターにて。電話予約承ります。
ジュンク堂書店新宿店 TEL.03−5363−1300

『音盤考現学』『音盤博物誌』で吉田秀和賞およびサントリー学芸賞を受賞、一躍、時の人となり、新しい批評の扉を開けた片山杜秀。音楽はもとより、演劇やダンスのための音楽制作など、エネルギッシュな活動を続ける横川理彦。長年、音楽書のレビューを続けているこの二人が、初めて顔をあわせ、「音楽を語る」という不可能について、とことん語り合う!

・片山杜秀(かたやま・もりひで)
1963年生まれ。音楽評論家、思想史研究者。慶應義塾大学法学部准教授。国際日本文化研究センター客員準教授。著書に『音盤考現学』『音盤博物誌』『クラシック迷宮図書館』『続・クラシック迷宮図書館』(以上、アルテスパブリッシング)、『近代日本の右翼思想』(講談社選書メチエ)、共著書に『伊福部昭の宇宙』(音楽之友社)、『日本主義的教養の時代』(柏書房)、監修書に『日本の作曲家』(共同監修、日外アソシエーツ)など。朝日新聞、産経新聞、『レコード芸術』『CDジャーナル』等で音楽評を執筆。2006年、日本近代音楽研究の業績により京都大学人文科学研究所から人文科学研究協会賞を、2008年、『音盤考現学』および『音盤博物誌』が第18回吉田秀和賞、第30回サントリー学芸賞を受賞。

・横川理彦(よこがわ・ただひこ)
1957年生まれ。京都大学を卒業後、本格的な演奏活動に入り、82年にアルバム『99.99』でキングレコードからデビュー、その後4-D、P-Model等に参加、電子楽器と各種生楽器を併用する独自のスタイルに至る。ストリングス・トリオBios主宰、pickレーベルからのソロアルバム、即興を中心としたライヴ活動などの他、演劇やダンスのための音楽制作など国内外で幅広く活動中。『サウンド&レコーディング・マガジン』で長年音楽書のレビューを続けている。

[木村]

2010年03月04日

夢の顔合わせ! 4/17高橋源一郎さんと片山杜秀さんのトークセッション開催!

高橋源一郎さんといえば、片山杜秀さんの『音盤考現学』を「週刊ブックレビュー」で絶賛、『クラシック迷宮図書館』についてはTwitterで「面白すぎて、仕事にならない」とつぶやいてくださいましたが、おふたりのトークセッションが、ついに実現することになりました!

タイトルは「書評になにがわかる!?」。作家として書評に思うところある(?)高橋さんと、全方位型書評家の片山杜秀さんのガチンコ対決!となりますかどうか。Twitterでも書かれていたフルトヴェングラーの話なんかもとびだすのでしょうか? 話がどこにたどり着くか、だれにも予想できないこの歴史的な顔合わせを、ぜひ体験してください。詳細は以下のとおりです。

[木村]

http://www.junkudo.co.jp/tenpo/evtalk.html#20100417ikebukuro

書評になにがわかる!?
片山杜秀著『クラシック迷宮図書館』『続クラシック迷宮図書館』(アルテスパブリッシング)刊行記念対談

高橋源一郎(作家)× 片山杜秀(音楽評論家)

■2010年4月17日(土)19:00 〜

「本を目方で買う男」として知られ、その特異な文体での批評が注目を集めている評論家・片山杜秀氏と、小説家・文芸評論家として八面六臂の活躍を続ける作家・高橋源一郎氏の初めての対談。「書評になにができるのか」「書評でなにがわかるのか」をテーマに、本読みの達人ふたりが語り合います。


◆講師紹介◆
高橋 源一郎(たかはし・げんいちろう)
小説家・評論家。1951年生まれ、広島県尾道市出身。1981年に『さようなら、ギャングたち』でデビューし、日本文学の新しい潮流を作った。1988年『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞、2002年、『日本文学盛衰史』で伊藤整文学賞を受賞している。近著に『13日間で「名文」を書けるようになる方法』(朝日新聞出版)などがある。

片山 杜秀(かたやま・もりひで)
音楽評論家・思想史研究者。1963年仙台生まれ。『近代日本の右翼思想』(選書メチエ)に続いて、2008年の『音盤考現学』『音楽博物誌』がサントリー学芸賞と吉田秀和賞を受賞するなど高く評価された。最新刊は『日本思想という病』(共著、光文社)

2010年03月09日

片山杜秀さんと音楽書の関係を根掘り葉掘り(2/18青山ブックセンター六本木店)


前のデスクに置かれているのが、片山さんの「音楽批評の原点」ともいうべき書物たち(いまでも現役で活躍中!)

たいへん遅くなってしまいましたが、2/18(木)夜、青山ブックセンター六本木店にておこなわれた片山杜秀さんトークショウ「クラシックと活字の森へ」のご報告(すみません、昨日まで『続・クラシック迷宮図書館』の編集作業でブログ書く時間がなかったんです^^;)。

クラシック迷宮図書館』の発売を記念して、青山ブックセンター六本木店の柳瀬さんのお声がけで実現したこのイヴェント。多数のお客さんにご来場いただき、あらためて片山さんの人気を感じました。聞き手は僭越ながらワタクシ、木村がつとめさせていただきましたが、ふだんは仕事の話が中心になって、なかなか細かくうかがうことができないでいたあれこれを、これをチャンスと根掘り葉掘りお聴きしてしまいました。

片山さん、この日のためにわざわざ本を何冊か持ってきてくださったんですが、いずれも中学・高校時代に愛読というか愛用されていた書物。属啓成『名曲事典』、秋山邦晴『日本の作曲家たち(上・下)』、Schwannのレコードカタログなどなど……。面白いのは、いわゆる「評論」というよりも、「資料」的な書物ばかりということ。それぞれの本のなかでも、「読みもの」的な部分ではなく、「作品一覧」などのデータ欄に赤線が引いてある。このあたり、片山流音楽批評の原点を見た思いがしました。

最後には来場された方々から、いろいろと質問もいただきました。「片山さんの批評に故・長岡鉄男さんの批評と通ずるものを感じるが、ご自分はどう思われているか」という質問も飛び出しましたが、片山さんの答えは「自分はオーディオ・ファンではなかったが、長岡さんがひじょうに自由な感性で、クラシック・プロパーの人なら、なんで?と思うような作曲家をどんどんリスペクトしていく、ある意味破壊的な批評に、たいへん影響された」と、たいへん興味深いものでした。

続編となる『続・クラシック迷宮図書館』は、早くも今月20日の発売となります。3/25の横川理彦さんとのトークセッション(ジュンク堂書店新宿店)、4/17の高橋源一郎さんとのトークセッション(ジュンク堂書店池袋店)と、刊行記念イヴェントが目白押しです。いずれも初顔合わせ、なにが飛び出すかわからないぶっつけ本番トークにどうぞご期待ください。

[木村]


2010年03月25日

山崎浩太郎さんが『クラシック迷宮図書館』を書評してくれました

演奏史譚家の山崎浩太郎さんが「はんぶるオンライン」の「可変日記」にて、片山杜秀さんの『クラシック迷宮図書館』を書評してくださっています。2/1の日記。

……ここで片山さんが重視しているのは、その本がいかに売れそうな、多くの人が興味をもちそうな「テーマ」を選んだかよりも、いかに個性ある「主張」をしているかだ。

 その主張(ときに著者が自覚していない矛盾そのものであったりする。秋山邦晴の「戦後民主主義的史観」とか)が、片山さんならではの視点と把握で、一冊のなかから、活力にみちた文体によってグワッとつかみだされる。

 肝心なのは主張の正当性ではない。それは二の次だ。説得力のあるもの、いかにもトンデモなもの、その違いは片山さんの好意的な形容や皮肉な言い回しなどの使い分けで見当がつくけれども、とにかくそれは二の次だ。主張の独創性、斬新さ、勢いの強さ。それらを選び、キモを鷲づかみにし、読者の前に放りだす。

「主張の独創性、斬新さ、勢いの強さ」──これらはご自身の演奏家評にもそのまま共通しそうな指標ですね。山崎さん、ありがとうございました。

[木村]

2010年03月26日

片山杜秀さんと横川理彦さんのトークセッション@ジュンク堂書店新宿店


片山杜秀さんの『クラシック迷宮図書館』と『続・クラシック迷宮図書館』の発売を記念して、昨日(3/25)ジュンク堂書店新宿店にて、ミュージシャンで作・編曲家の横川理彦さんとのトークセッションが開催されました。

『レコード芸術』誌で10年間、音楽書書評コーナーを担当した片山さんと、『サウンド&レコーディング・マガジン』誌で10年以上(ご本人もおぼえておられないとか)、毎月3冊の音楽書をとりあげて書評してこられた横川さん。音楽書書評の達人2人によるトークは、万博の話、映画音楽の話、そして現代音楽の話と、初顔合わせとは思えない盛り上がりをみせました。

印象的だったのは、「音楽は送り手と批評と聴き手の3者が必要。現代音楽はその意味でもう死んでいると思っていた。ジャズも同じような状態だったけど、菊池成孔という書き手によって蘇った。そして、片山さんが現れて、やっと現代音楽が生き返るんじゃないかと思った」という横川さんのコメント。

続・クラシック迷宮図書館』発売直後とあって、終了後のサイン会にも長い列が。雨の中ご来場くださったみなさん、ありがとうございました。

[木村]


2010年03月29日

橋本麻里さんが『芸術新潮』で『クラシック迷宮図書館』を紹介してくれました

『芸術新潮』4月号で片山杜秀さんの『クラシック迷宮図書館』が紹介されました。「魅惑の音楽評論、聴く前に読め!」と題して、ライター、エディターの橋本麻里さんが書いてくださいました。

「(略)練達の聞き手にして言葉の遣い手でもある片山杜秀が、やはり音楽を言葉で語ることの不可能に挑んだ名著奇書を紹介するのが本書」「唯一の難点は、面白すぎて、うっかり「聴いた」ような気になっちゃうことかもね」と、本書の魅力を紹介してくれています。

ちなみに、来る4/17(土)には橋本さんのお父上でもある作家・高橋源一郎さんと片山さんのトークセッションがおこなわれます。こちらもお楽しみに!

[木村]

2010年03月29日

三浦雅士さんが『クラシック迷宮図書館』を毎日新聞で!

3/28(日)付けの毎日新聞読書欄に片山杜秀さんの『クラシック迷宮図書館』の書評が掲載されました。評者は文芸評論家の三浦雅士さん。こちらで全文を読むことができます。
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20100328ddm015070008000c.html

「音楽書の書評を集めた本だがすこぶる面白い。ユーモアがそのまま的を射た評になっている。稀なことだ」という書き出しから、「重厚な本が多いが、語り口の巧みさで読後は爽快」という結びまで、楽しんで読んでいただいた様子がありありと伝わる書評。ありがたいかぎりです。

[木村]

2010年03月29日

ミュージックバードで片山杜秀さん出演のラジオ番組スタート!

高音質CS衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」で、片山杜秀さん出演のラジオ番組が始まります。番組名は「片山杜秀のパンドラの箱」。

4月30日(金)23:00~24:00  再放送=5月8日(土)5:00~6:00

いったいどんな番組なのか──。以下、公式サイトから引用。

片山杜秀がクラシック界に殴り込み?!

 クラシック界で今、最もとがった書き手と言えば片山杜秀が筆頭に挙がるでしょう。
 「音盤考現学」「音盤博物誌」の2冊で、サントリー学芸賞&吉田秀和賞ダブル受賞、政治、社会、思想、映画、演劇、芸能・・・全方位に伸びる好奇心のアンテナは現代音楽から古典まで逃さず、博覧強記ぶりを発揮して、絶大なる説得力で鋭く時代を見通しています。演劇などで鍛えた独特の語りのファンも多く、ラジオ・レギュラー番組が待望されていました。その片山杜秀による月に一度の音楽時評、本やレコード(CD)、コンサートを始め、映画、演劇、世相、思想、芸能全般、政治までを、音楽を通して語ります。生放送に近いアップ・トゥ・デイトな作りの番組ですので、事前にテーマや曲目は発表いたしません。
 片山杜秀が開けるパンドラの箱から出てくるのは果たして災いか、はたまた希望か?!

──とのこと。どうぞお楽しみに!

なお、ミュージックバードを聴くには、専用のチューナーとアンテナが必要です。詳細は以下。

MUSICBIRDは TOKYO FMグループの超高音質CS衛星デジタルラジオ。 クラシック、ジャズ、KAYO-ENKAなどジャンル別に10のチャンネルがあり、 これを聴くには専用のチューナーとアンテナが必要。 ただ今、チューナーとアンテナを無料でレンタルする 「PCM Fun Club」の会員募集中 http://www.musicbird.jp/ http://www.musicbird.jp/musicbird/ch_all.html
[木村]

2010年03月31日

横川理彦さんが『クラシック迷宮図書館』を書評してくださいました

去る3/25、ジュンク堂書店新宿店での片山杜秀さんとのトークセッションに出演していただいた作・編曲家の横川理彦さんが、『サウンド&レコーディング・マガジン』4月号にて、『クラシック迷宮図書館』をとりあげてくださっています。

音楽本やその作者への態度が一貫していてぶれがなく、内容の読み取りは鋭く、そこに博覧強記な著者ならではの総括が加わる。広い範囲で読者の想像力が否応なしに引き出され、とても刺激的なのだ。

と絶賛してくださっています。この「Books」コーナーもすでに10年以上続けておられるとか。とすると、すでに360冊以上の書籍がここで紹介されたことになります。この10年間に日本で刊行された音楽書の、ほぼすべてを網羅しているのではないかと思うくらいの数ですね。

ありがとうございました。

[木村]

2010年03月31日

『モーストリー・クラシック』で『クラシック迷宮図書館』が紹介されました

『モーストリー・クラシック』5月号で「博覧強記、縦横無尽な書評集」と題して、『クラシック迷宮図書館』を紹介していただきました。

切り口は音楽だけではない。文学や芸能、専門の政治や思想などさまざまな話題をからめて本を紹介していく。その引き出しの多さにほとほと感心せざるを得ない。

ありがとうございました。

[木村]

2010年04月19日

ジュンク堂ウェブマガジンの松家仁之さんインタビューにアルテスが!

ジュンク堂書店のウェブマガジン「WEBほんのしるべ」で、「編集者の棚」というコーナーがはじまりました。第1回は新潮社の名編集者、松家仁之さん。

http://www.junkudo.co.jp/hensyusya_tana.html

「新潮クレスト・ブックス」をたちあげたり、『考える人』や『芸術新潮』の編集長をつとめたりと、いつも仰ぎみているあこがれの大先輩ですが、そのお話の最後に、なんとなんと、アルテスが出てきます。

僕は、(出版は)これからの方がもっと面白いだろうと思っているんです。 (略) 最初にお話した晶文社は、まさに20〜30人くらいの規模ですごく面白いことをやっている会社でした。見渡す範囲に全員がいて、会議なんかしなくても、お互いが何を考えていて、何をつくろうとしているか、ぜんぶ見渡せるような規模というのが、本来の出版社なんじゃないかな。 これからは、webという手段を得て、生き生きとした小さい出版社がもっと出てくると思います。例えばミシマ社のような出版社とか、音楽の友社の人が独立して始めたアルテスパブリッシングとか。

そして、アルテスの本のなかで「一連の片山杜秀さんの音楽の本」をあげてくださっています。

こんな文脈でとりあげていただけるなんて、ほんとうに光栄としか言いようが……。精進せねば!と気が引き締まりました。松家さん、ジュンク堂のみなさん、ありがとうございました。

次回の「編集者の棚」もひきつづき、松家さんのお話のようで、楽しみです。

[木村]

2010年04月19日

アイデンティティは一つじゃダメ!──高橋源一郎×片山杜秀トークセッション、大盛況!


4/17(土)にジュンク堂書店池袋本店にておこなわれた高橋源一郎さんと片山杜秀さんのトークセッション「書評になにがわかる!」。稀代の聞き上手の高橋さんに片山さんのマシンガントークもいつもの数倍の破壊力で炸裂。会場は爆笑の渦につつまれました。

さまざまな話題がでましたが、印象にのこったのは「片山さんの4冊の本に、むりやりコピーをつけるとしたら、『アイデンティティは一つじゃダメ!』というのはどうか」という高橋さんの言葉。本職(?)の政治思想史研究のかたわら音楽評論家としても大活躍する片山さん(それだけでなく、映画や芝居、歌舞伎などなども)は、まさにマルチ・アイデンティティのひとですね。

高橋さん、トークセッションの前後にTwitterで、さかんに片山さん関連の話題をツイートしてくださっていますので、引用させていただきます。
http://twitter.com/takagengen

今日、ジュンク堂で片山杜秀さんと対談があるので(すいませんが、すぐに満員になりました)、片山さんの本をもう一度、最初の『音盤考現学』から『音盤博物誌』、『クラシック迷宮図書館』、『続クラシック迷宮図書館』と読み返していった。いや、ほんと、頭がクラクラするぐらい面白い。

でも、片山さんは専攻が政治学なのに、本職(?)の方を読んでいないので、申し訳ないです。そういえば、ぼくが大学に勤める時、大学側の人事委員として面接してくださった、いま同僚の原武史さんに、面接の場で「書評、ありがとうございます」といわれて、なんのことやら、とポカンとした覚えがある。

原さんが「あの鉄道本の著者」、「鉄っちゃんの原さん」と同一人物だと知らなかったのだ! 原さんも専門は政治思想史。政治学や政治思想を勉強していると、ジキルとハイドになっちゃうのかも。この片山さんの4冊本もメッセージはシンプルだと思う。要するに「アイデンティティーは一つじゃダメ!」。

駅ソバについて語るのと同じ情熱で天皇について語り(逆か?)、政治について語るのと同じように「ゴジラ」の音楽について語る。それがグローバリズムを超える、もしかしたら唯一の道なのかも(『続迷宮図書館』での、ユダヤ人バレインボイムとパレスチナ人サイードの会話について語るところは必読)。

ジュンク堂まで来たくださったみなさん、ありがとう。片山杜秀さん、ぼくも初対面でしたが、面白い人、っていうか、キャラの濃い人でしたね。頭がいいとかいう段階は遥かに超えてました。「本を目方で買う」というコピー、そんなに間違ってないみたいです。CDとレコードだけで5~6万枚。本も同様。

本とCDやレコードの収納できる場所を求めて、茨城の工務店の社長の会社兼住宅を買ったんだそうです。しかも、いまなお、本やCD等々を買うだけでなく、日々、CSなぞで放映される日本映画を一日何時間も録画しつづけている。「見る暇ないでしょ」と申し上げたら「はい」と答えられました。

素晴らしきかなおたく! そんな片山さんを形成するに至ったルーツは、小・中・高と男子校の暁星に通ったことではないかと本人も述懐されていた。暁星って卒業式や入学式で、日本国旗とフランス国旗が並び、「君が代」と「ラ・マルセイエーズ」が続けて演奏されるんだそうです。いいじゃないか、それ!

でもって、片山さん、ツイッターのアカウントは取得されているのに、まだツイートはされてないそうです。ぜひ、やってください! お願いします。

高橋さん、どうもありがとうございました!

[木村]


2010年04月30日

5/11川本三郎さん×片山杜秀さん夢の対談!

既報のとおり、4/22から千駄木の「古書ほうろう」で「アルテスパブリッシングの本・全点フェア」を開催していただいています(〜6/6)。

http://www.yanesen.net/horo/info/detail.php?id=32

フェア中に、店主・宮地さんのたってのご希望で、評論家の川本三郎さんと片山杜秀さんの夢の対談が実現することになりました。初顔合わせのおふたりですが、「映画」「文芸」そして「古書」について、尽きせぬ想いを語り合っていただきます。詳細は以下のとおりです。

■開催記念トーク・イベント

偏愛談義「古書も映画も音楽も」
片山杜秀(音楽評論家)× 川本三郎(評論家)
   
『音盤考現学』『音盤博物誌』で世を驚かせ、新刊の『クラシック迷宮図書館』2冊も好評の片山さんと、ごぞんじの評論家・川本三郎さんの初顔合わせが実現しました。幅広いジャンルに旺盛な好奇心で取り組んでいるという点では似たもの同士のお二人ですが、さてはてどんな話が飛びだすのか、お呼びしたわたしたちも楽しみです。

日にち 5月11日(火)
時間  18時半開場/19時開演
入場料 1000円
定員  50名(予約制・先着順)

※ご予約はお電話かメールで、古書ほうろうまで。
 03-3824-3388
 horo●yanesen.net ●=アットマーク
 (お名前、人数、当日ご連絡できる電話番号をお書き添えください)

お申し込みはお早めに!

[木村]

2010年05月10日

『中央公論』に片山杜秀さんのインタヴューが掲載されました

『中央公論』6月号の「著者に聞く」のコーナーに、『クラシック迷宮図書館』正の著者として、片山さんのインタヴューが3頁にわたって掲載されました。

片山さんの写真が幸せそうでナイスです。

自虐的に言えば、音楽批評は多かれ少なかれペテンです。そこからペテンを少しでも減らす。ひたすらその努力をして、悶絶する。それが音楽批評家の道ではないでしょうか。

その「悶絶」が、あのカタヤマ式音楽批評を生んでいるわけですね。

明日(5/11)は古書ほうろうにて評論家・川本三郎さんと片山さんのトークショー。楽しい会になることまちがいなしです。

[木村]

2010年05月17日

7/10、片山杜秀さんと秋岡陽さんが薦める「夏休みの課題図書」!?

クラシック迷宮図書館』と『続・クラシック迷宮図書館』の刊行を記念して、ヤマハ横浜店にてトークイヴェントがおこなわれます。片山杜秀さんとフェリス女学院大学教授の秋岡陽さんが、「夏休みに読みたい音楽書籍」を紹介するというもの。日時などは以下のとおりです。

日時:7/10(土)18:00〜
場所:ヤマハ横浜店 3F
入場料:1000円 要予約・先着50名様
お問合・お申込:ヤマハ横浜店2F楽譜売場
         TEL:045-311-1202(担当:高木)
URL:http://www.yamahamusic.jp/shop/yokohama

秋岡さんはフェリス女学院大学音楽学部音楽芸術学科教授をつとめ、山田耕筰研究などを専門とされていますが、それ以前は音楽之友社で何冊もすばらしい書籍を世に送り出した名編集者でした。、木村もたいへんな薫陶をうけた先輩です。「音楽書」というテーマで、どんな対談になるのか、とても楽しみ。定員がありますので、みなさんぜひお早めにお申し込みください。

また、同店では6月下旬から『クラシック迷宮図書館』正続で書評対象になった本を一堂に集めてのフェアがおこなわれます。絶版本や入手困難な本は除くことになりますが、音楽書ファンにとってはまたとない機会となるはずです。

[木村]

2010年05月18日

『Jupiter』で『クラシック迷宮図書館』正続が紹介されました

大阪・いずみホールの広報誌『Jupiter』6-7月号で『クラシック迷宮図書館』『続・クラシック迷宮図書館』が紹介されました。

書評集の書評はやりにくいことはなはだしいと思いますが、評者(め)さんお気に入りのカレーの味にたとえてのユニークな評が素晴らしい。「最近、冗長な文章が多いとお嘆きの諸兄、瞠目して片山を読め!」と締めくくってくださってます。

ありがとうございました!

[木村]

2010年05月20日

川本三郎さん、片山杜秀さん、ほんとに初顔合わせですか??──5/11古書ほうろうでの対談


ジャケットにチェックのシャツという出で立ちも、まるで示し合わせたかのよう!

アルテスパブリッシング全点フェア」を開催していただいている千駄木の古書店「古書ほうろう」にて、5/11(火)、評論家の川本三郎さんと片山杜秀さんの対談「古書も映画も音楽も」がおこなわれました。

その場に居合わせた誰に聞いても「初顔合わせとは思えない」ほどの盛り上がり。話に出てくる固有名詞のほとんどに「?」の方も多かったようですが、それにもかかわらずこんなに楽しい対談はめったにないくらい。おふたりとも、映画や音楽のさりげない細部に目をとめて、そこから予想もしなかったような面白さを発見したり、作品の置かれた文脈を意外な視点から読み直したりする達人として知られますが、共通して持っているのは「人並みはずれた好奇心」そして「どんなことでも面白がる気持ち」でしょうか。同好の士どうしの敬愛と、ほほえましいライヴァル意識が横溢した至福の2時間でした。

「この続きをぜひ!」というみなさんのご要望におこたえして、古書ほうろうさんで近々第2弾を敢行すべく現在調整中。 「この対談を本にして!」というお声もいただいていますが、もちろん計画中です! 川本さん、片山さん、古書ほうろうのみなさん、そしてご来場くださったみなさん、ありがとうございました!

[木村]


2010年06月03日

川本三郎さんが『東京人』で片山杜秀さんのことを

東京人』で始まった川本三郎さんの新連載「東京つれづれ日誌」。本の話、漫画の話、鉄道の話、それから図書館への怒り(?)などなど、川本さんの日常がつれづれなるままに綴られた味わい深いエッセイです。

その第1回の最後に、5/11に古書ほうろうでおこなわれた片山杜秀さんとの対談の話題が。「映画の話、クラシック音楽の話で盛り上がり、二時間があっというまに過ぎてしまった。こんなに楽しい対談は久しぶり」と書いてくださっていて、聴衆の私たちと同じように川本さんも楽しんでおられたのだと、あらためて嬉しく思いました。

結びに、「あんまり楽しかったので、これから定期的に片山さんと古書ほうろうで対談することになった」とありますが、そう、近々古書ほうろうにて、第2回の対談をおこないますので、みなさんぜひお越しください。詳細が決定しましたら、またご案内します。

[木村]

2010年06月08日

7/14 川本三郎さんと片山杜秀さんの「偏愛談義」、ふたたび!

前エントリで少しばかりフライングしてお伝えしましたが、5/11に開催して大好評だった川本三郎さんと片山杜秀さんの偏愛談義「古書も映画も音楽も」の第2回が、ふたたび古書ほうろうにて開催されます。

http://www.yanesen.net/horo/info/detail.php?id=38

続・偏愛談義「古書も映画も音楽も」
川本三郎(評論家)× 片山杜秀(音楽評論家)

日にち 7月14日(水)
時間  18時半開場/19時開演
入場料 1000円
定員  50名(予約制・先着順)

※ご予約はお電話かメールで、古書ほうろうまで。
 03-3824-3388
 horo@yanesen.net
 (お名前、人数、当日ご連絡できる電話番号をお書き添えください)

さて、今回もまた前回のように超トリヴィアルな固有名詞飛び交いまくりのマニア談義となるのか、あるいはひとつのテーマをじっくりと掘り下げることになるのか、まったく予断を許しませんが、とにかく無類の面白さであることは自信をもって保証します。ぜひご参集ください!

[木村]

2010年06月14日

6/15-7/12 ヤマハ横浜店にて『クラシック迷宮図書館』特集!

片山杜秀さんの『クラシック迷宮図書館』および『続・クラシック迷宮図書館』の発刊を記念して、ヤマハ横浜店楽譜売場にて、明日6/15(火)よりフェアを開催していただけることになりました。「書評対象となった本を、現在入手可能な限り取りそろえ」ていただいているそうですので、みなさん、この機会にぜひお買い求めください(経験上、音楽書はすぐに「稀覯本」になってしまいますから!)。

また、以前のエントリでお伝えしたとおり、同店3Fにて7/10(土)18:00より、片山杜秀さんとフェリス女学院大学教授・秋岡陽さんをむかえて「夏に読みたい音楽書」と題して、トークイヴェントが開催されます。いずれ劣らぬ読書家のおふたりが、とくに「音楽書」にしぼって「課題図書」を推薦してくれます。この夏休みはぜひ「音楽書漬け」になってみてください!

フェアとトークイヴェントの詳細は以下をご覧ください。
http://www.yamahamusic.jp/shop/yokohama/media/01

[木村]

2010年06月18日

ヤマハ横浜店での『クラシック迷宮図書館』フェアがすごい!

既報のとおり、6/15(火)よりヤマハ横浜店楽譜売場にて、片山杜秀さんの『クラシック迷宮図書館』『続・クラシック迷宮図書館』の刊行記念フェアがおこなわれています。同2書にて書評対象としてとりあげられた書籍を100点以上とりそろえ、レジ前の平台に積んでいただいているのですが、これがすごい!

フェア台に並んだ音楽書の数々。壮観!

これだけの品揃えも素晴らしいですが、なんといってもすごいのは、1冊1冊にまかれたオリジナルのオビ! それぞれの本の背に、片山さんがその本をとりあげた文章のタイトルをキャッチコピーのように記し、書評の中から文章を抜き書きしてくださっています。このフェアの担当、高木朋子さんが手書きで作ってくださったそうですが、どれほどの時間がかかったことでしょう……。

1冊1冊には手書きのオビが巻かれている!

7/10(土)にはフェアに合わせて同店にて、片山さんとフェリス女学院大学の秋岡陽さんによる「夏休みに読みたい音楽書」という対談がおこなわれます。詳細はこちら

音楽書ファン必見のフェア&イヴェントです。ぜひこの機会に横浜へ足をお運びください!

[木村]

2010年06月21日

『レコード芸術』で『クラシック迷宮図書館』『フレデリック・ショパン全仕事』紹介

『レコード芸術』7月号に片山杜秀さんの『クラシック迷宮図書館』『続・クラシック迷宮図書館』の書評が掲載されました。評者は中村晃也さん。

(略)「面白すぎ」の奥に、あなどりがたい洞察が光る。各編2000字ほどだから、とても読みやすい。本書が単なる音楽書評でないのは、その視野が政治や歴史、映画や文学などにおよぶからだ。
読了後、賢くなったような気分になるのは請け合い。このプリズムの煌きからは、目がはなせない。

同じページには小坂裕子さんの『フレデリック・ショパン全仕事』の紹介も。「解説が伝記と楽曲分析を併録している点も、読みやすく魅力的」と評していただいています。

[木村]

2010年06月25日

7月からお店で使っていただくPOP2種公開



上:わくわく感を強調。下:とにかくインパクト勝負!

吉原真里さんの『ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール』、そして「片山杜秀の本1〜4」のPOPを作成しました。それぞれ著者近影入り(というか、片山さんの場合、はみ出してますが……)です。7月から、お店で見かけたら、ぜひ立ち止まって、本を手にとってみてください。

[木村]


2010年07月08日

『あんさんぶる』に片山杜秀さんのインタビューが掲載されました

『あんさんぶる』7月号に片山杜秀さんのインタビューが掲載されました。計4ページの充実したもの。

小学校受験のための塾で出会った先生、そして小学3年生の担任の先生の話は、はじめて読むエピソード。片山さんは独力で片山さんになったのかと思っていましたが、やはりどこかに導きの糸があるのですね。

明後日、7/10(土)19:00からはヤマハ横浜店にて、片山さんと秋岡陽さんの対談イヴェントがおこなわれます。「夏に読みたい音楽書」と題して、さまざまな書籍を紹介、おふたりならではの“読み方”を教えてもらえます。みなさんにとっての「導きの糸」となればさいわいです。ぜひご参加ください。

[木村]

2010年07月12日

夏休みは音楽書を読もう!──7/10片山杜秀×秋岡陽トークイヴェント報告


秋岡陽さん(左)と片山杜秀さん

去る7/10(土)、ヤマハ横浜店にて、片山杜秀さんと秋岡陽さんのトークイヴェントが開催されました。同店で開催していただいているクラシック迷宮図書館』『続・クラシック迷宮図書館』発売記念フェアの一環としてのイヴェントで、お題は「夏に読みたい音楽書」。同書でとりあげられた書物だけでなく、最近面白かった本、学生に人気の本など、さまざまな音楽書が紹介されました。

以下、当日紹介された本を列記します。

●片山さん推薦

レヴィティン『音楽好きな脳』白揚社

・なんでも脳で説明する風潮があってきわどい本が多いが、あるていど信頼できる。
・音楽と小脳の話が面白かった。小脳はかなり原始的な器官で音楽と関係なさそうだが、小脳は運動と時間を司る。音楽は芸術だと思いたがるが、生き物として生きていくために必要なものだということ。
・人間は音の情報と感情を高度に結びつけることに成功したから、この地上で繁栄した。音楽は生き残るための訓練になっている、ということを、この本から学び取った。

三上敏視『神楽と出会う本』アルテスパブリッシング

・自分は神楽を国立劇場でしか見てないが、三上さんは現地で楽しんでおられて、うらやましい。
・いま相撲が話題だが、あれもスポーツじゃなくて芸能。一人相撲は神様と相撲してかならず負けることになっている。スポーツの部分は余興。音楽が音の部分だけ特化してしまったが、神楽は芸能や宗教と一体だったころの音楽の姿を表している。

シーゲル『サキソフォン物語』青土社

・サキソフォンが流行ったのは、カルーソやクライスラーのヴィブラートをうまく模倣できる楽器だったから、と書かれている。

モラスキー『ジャズ喫茶論』筑摩書房

・著者が否定したいと思っている前の学説のほうが、じつは面白かった(笑)。

●秋岡さん推薦

西原稔『ピアノの誕生』講談社

・最近は、ピアノを弾いてると「変わってるね」といわれる学生がいて、彼ら/彼女たちは「ピアノを弾く自分って、なに?」と考えることが多い。そんなときにこの本などはよく読まれる。


西原稔『「楽聖」ベートーヴェンの誕生』平凡社

西原稔『ピアノ大陸ヨーロッパ』アルテスパブリッシング

・西原さんの本はこの2冊もおすすめ。

Robert P. Morgan, Anthology of Twentieth-Century Music, W W Norton & Co Inc

・(秋岡さんの)シカゴ大学時代の恩師の本。向こうはこういう堅い本がしっかり刊行されていて、いいですよね。

西川尚生『作曲家・人と作品 モーツァルト』音楽之友社

・モーツァルトの伝記なんて、もう書くことないだろうと思ったけど、この本はいろいろ知らなかったことが書かれている。レクイエム書きながら陽気なホルン協奏曲を書いていたなんて、この本ではじめて知った。

川端純四郎『J.S.バッハ 時代を超えたカントール』日本キリスト教団出版局

・この著者は音楽学者じゃないが、とてもいい本。あのバッハ学者の小林義武さんも「いい本だ」とおっしゃっていたので、自信をもっておすすめします(笑)。

金澤正剛『古楽のすすめ』音楽之友社
(若かりしころ(30代後半?)の金澤さんの写真が登場!)

・自分で発見したつもりになっていたことが、この本を読んだらぜんぶ載っていた。
・最近出た新版も、かなり書き足してあっておすすめ。

Walter Benjamin, The Work of Art in the Age of Mechanical Reproduction(英語版)
Lawrence Lessig, Free Culture
David Kusek, Gerd Leonhard『デジタル音楽の行方』翔泳社
福井健策『著作権の世紀』集英社新書

・このへんは、やはり最近の著作権とか配信がらみでよく読まれる本。ベンヤミンとか、学生といっしょに原書講読するとみんなギョッとしてます。

Theodor W. Adorno, Essays on Music(英語版)
渡辺裕編『アドルノ 音楽・メディア論集』平凡社

片山「わたしの批評の元ネタもかなりアドルノです」
秋岡「後者はとても翻訳が読みやすいですね」

北川純子『音のうち・そと』勁草書房
東谷護『ポピュラー音楽へのまなざし』勁草書房
『ヲノサトルの甘い作曲講座』リットーミュージック

・ポピュラー音楽に関心のある学生に人気なのは、このへん。

R. Murray Schafer, The Soundscape

・この本は以前から人気があったが、最近はだんだん読まれなくなってきた。

小沼純一『武満徹 その音楽地図』PHP研究所

秋岡「びっくりしたのは、この本をはじめとして、Googleブックスでタダで読めちゃう本がたくさんあること。読めるのは一部分だが、うまく自分の知りたい部分に当たれば、本を買わなくてもいい(笑)」
片山「子供のころは出会うためにものすごく苦労したものが、ネットで簡単に手に入る。フリーになればなるほど、判断能力が必要になる。昔は手間やお金がかかるぶん選別能力が磨かれた」

以上、秋岡さんはiPadをプロジェクターにつないで、本の写真をスライドで壁に映しながらの解説。そのあいまに、なんだか意味不明の写真(※)がとつぜん映し出されたりして、面食らいましたが、それ以外は実にわかりやすいお話で、大学で講義を聴いている気分になりました。

※音楽之友社入社当時の木村の写真(じつは秋岡さん、音楽之友社時代の大先輩なのです)。しかも、上司の眼を盗んで作曲にいそしんでいるところなんかも映し出され、このときばかりは秋岡さんにご登壇いただいたことを悔やみました(笑)。

最後に聴衆からは、「片山さんに音楽史のブックガイドを書いてもらいたい。音楽史の研究史がわかる本があれば」という注文も、片山さん、「(アルテスの)木村さんと相談します(笑)」とのお答えでした。なるほど、面白そう。ぜひ計画しましょう、片山さん!

[木村]



2010年07月15日

殺人者はクラシックがお好き?──7/14 川本三郎×片山杜秀「続・偏愛談義」@古書ほうろう

5月におこなわれた川本三郎さんと片山杜秀さんのトーク・イヴェント「偏愛談義──古書も映画も音楽も」の第2弾が、ふたたび千駄木の古書ほうろうで開催されました。

前回の評判を聞きつけてか、お客様の入りは上々。前回は初顔合わせだったおふたりも、今回はより力の抜けた和やかな雰囲気のトークを繰り広げました。川本さんが「あ、思い出した」とどんどん新しい話題を振り、片山さんがそれをすかさずフォローする様は、気のおけない親友どうしか師弟の語らいのようでした。

今回もiPadでツイッター実況中継を試みましたが、未知の固有名詞が飛び交うトークを再現することは不可能。でも、どんな話題がでたか、ちょっとは参考になるかもしれませんので、以下にコピーしておきます。

[木村]

>> 詳細

2010年10月16日

11/18 川本三郎×片山杜秀の偏愛談義、三たび!

5/11の第1回、7/14の第2回にひきつづき、川本三郎さんと片山杜秀さんの「偏愛談義」、第3回を11/18(木)に開催します。場所はもちろん、千駄木の「古書ほうろう」さんにて。

以下、古書ほうろうのウェブサイトより引用させていただきます。

続々・偏愛談義「古書も映画も音楽も」 川本三郎 × 片山杜秀 11月18日(木)

アルテスパブリッシングの本 全点フェア」をきっかけに始まった川本さんと片山さんの偏愛談義。「固有名詞がぜんぜん分からないのに楽しい」と大評判のトークも、いよいよ3回目を迎えます。

鈴木英夫監督の話題ではじまり、永井荷風と菅原明朗の話を経由して、川本さんのハミングで終わった第1回

映画の殺人者は口笛をよく吹くという話でスタートし、「次にゴジラが破壊するのはスカイツリー」と意気投合、ハンス・アイスラー作曲の東ドイツ国歌を片山さんが高らかに歌いあげた前回は、『ギターを持った渡り鳥』で小林旭が弾いていたピアノ曲はなにか?という宿題もでました。

今回も、映画と音楽にまつわる汲めども尽きぬお話が伺えるのは間違いないところ。心からの敬意を持ち合う「同好の士」ふたりによるリラックスしたおしゃべりを、みなさんもぜひご堪能ください。


続々・偏愛談義「古書も映画も音楽も」
川本三郎(評論家)× 片山杜秀(音楽評論家)

日にち 11月18日(木)
時間  18時半開場/19時開演
入場料 1000円
定員  50名(予約制・先着順)      
会場  古書ほうろう http://www.yanesen.net/horo/about/

※ご予約はお電話かメールで、古書ほうろうまで。
 03-3824-3388
 E-mail:horo●yanesen.net ●を@にかえてください。
 ご予約の際の件名は「11/18 片山杜秀 × 川本三郎」で。
 (お名前、人数、当日ご連絡できる電話番号をお書き添えください)

「とことんマニアックなのに誰でも楽しい」と評判のこの対談、ぜひご体験あれ!

[木村]

2011年03月01日

【書評】『クラシック迷宮図書館』(正・続)|『みすず』(2011年1月・2月合併号)

『みすず』1月・2月合併号は恒例の「読書アンケート特集」。今年は建築史の倉方俊輔さんが片山杜秀さんの『クラシック迷宮図書館』『続・クラシック迷宮図書館』をとりあげてくださいました。

(略)多少強引でも爽快な、的を射た文章によって、音楽が深く社会と人間と、人間の哀しみとでも言いようのないものに触れていると知れる。ど真ん中を進みながら「〜学」の退屈さを免れている。同書にそそのかされて、何冊の音楽書に手を伸ばしたことか。おかげで音楽史研究の厚みが分かり、いろいろと考えさせられた。

「そそのかされて」というところに、片山さんの本の特徴が表されているようで。ありがとうございました。

[木村]

2012年09月07日

片山杜秀さん、吉田秀和賞審査委員に就任!

5月の吉田秀和さんの逝去以来、「今後、吉田秀和賞はどうなるのか」ということが芸術界の関心事のひとつとなっていましたが、このたび水戸芸術館から新しい体制についてのお知らせがありました。

第22回目となる今回からは、生前の吉田秀和さんと親交のあった文学者・杉本秀太郎さんを審査委員長に迎え、今年1月に逝去された林光さんの後任として、弊社刊行の『音盤考現学』『音盤博物誌』で第18回の受賞者となった音楽評論家・片山杜秀さんを審査委員として迎える、とのことです。審査は杉本さん、片山さんの2人でおこない、賞の発表は12月、贈呈式は1月におこなう予定だそうです。

フランス文学や美術への造詣の深さで知られる杉本さんと、政治思想史研究と音楽評論という2つの柱から奇抜な着想を次々に繰り出す片山さん。このふたりが後継をつとめるというところからも、吉田秀和さんのもっていた世界の大きさ、広さを感じる思いです。

[木村]

2013年11月15日

東京堂書店神保町本店にて「片山杜秀の本」フェア開催!

東京・神田神保町の東京堂書店神保町本店にて、11/19(火)〜12/20(金)の1カ月間、「片山杜秀の本」フェアが開催されます。

先月刊行された最新刊『現代政治と現代音楽』を中心に、「片山杜秀の本」シリーズをはじめ、他社刊行の音楽以外の本も一同に並べる、現代の知の巨人・片山杜秀の全貌を知るには恰好のフェアです。

フェアでは、『現代政治と現代音楽』と前作『線量計と機関銃』のもとになった番組「片山杜秀のパンドラの箱」(衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」で放送中)の内容を一部聴いていただけるようになっています。この機に高音質「音楽専門」衛星ラジオ「ミュージックバード」のリスナーになってみませんか?

[木村]

Go to Altespublishing website

Twitter @suzukisgr

Twitter @kimuragen

カテゴリー

アーカイヴ

[ Powered by ]
Movable Type 3.38