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2010年08月15日

インターン実習日誌-2(東京学芸大Nさん)

先週の国立音大Sさんにひきつづき、8/9(月)から3日間、東京学芸大学2年生のNさんが、インターン生としてアルテスに来てくれました。おりしも、お盆進行でばたばたのアルテスで、彼女はなにを学んだのでしょうか?

[木村]


◎8/9(月)/1日目
 午前中は、OCRで読み込んだ文章を、元のテキストと見比べて校訂する作業をしました。OCRというソフトがあるということもその時にはじめて知りましたが、同時に、その校訂の作業は直接人の手で行っているということに驚きました。
 午後の作業は、新刊の注文を取次会社ごとに分け、それぞれ集計しました。現在、日本の出版物の大半が、日販とトーハンの2社によって取次ぎされていること、その中でも音楽に関する書物は、楽譜などの場合もあるので、少し特殊であることなどを知りました。その後、依頼を受けて制作している冊子に関する会議に同席させていただきました。たった1ページをとっても、いかに記事を見やすく、内容をおもしろいものにするかという工夫をところどころに施し、原案がみるみるうちに変わっていく様子を間近で見ることができました。文字の大きさや余白の使い方など、作業は私が想像していたものよりも細部にまで及ぶもので、一冊の冊子を作るということの大変さを知りました。

◎8/10(火)/2日目
 午前中は、新刊のDMを送る作業の準備をしました。全国の音楽大学の一覧を見て、DMを送る学校を書き出し、大学名、学部名、住所等をエクセルに打ち込んで一覧を作りました。この大学では、どの学部がこの本に興味をもち、注文していただけるだろうかということを考ながらしなければいけないので、手作業ではないと出来ない上に、とても手間や時間のかかる大変な作業でした。
 午後は、今度本を書かれる著者の方との打ち合わせに同席させていただきました。今回の打ち合わせでは全体の構成を大まかに決めました。序論、本文、そしてその他の付録や索引などの各ページ数の大まかな割り振り、付録の内容、扉の絵などについて話し合いました。実際に私が読んでいる本も、このような過程を経てつくられているということを思うと、とても新鮮で、興味深いものでした。「著者」と「編集者」の関係というよりは、ひとりの人間同士が、ひとつのものを作り上げるために良い案を出し合っている、というように思われました。その後は、大型の書店に行き、音楽書担当の方と、今度出る新刊のことや、書籍の配置のことなどをお話しました。このようなことも大切な仕事の一部であるということを実感しました。

◎8/11(水)/3日目
 この日は、冊子の記事を依頼する方に送る資料の作成をしました。表記一覧などの資料をOCRで読み込んでPDFファイルにしたものをディスクにコピーしたり、印刷したりしました。いわゆる事務作業ですが、途中で紙が切れたり、データをうまく印刷機に送れなかったり、予想外のことばかり起きてとても大変な作業でした。その作業と平行して、東京書籍の「音楽専門館」に載せる新刊の案内を作りました。そのホームページを見て、アルテスの本をはじめて知る方もいるわけで、そのような方にもこの本がどんな内容であるかを、簡潔にわかりやすく伝えるにはどうしたらよいか、アルテスのホームページや、東京書籍のホームページに載っている他の本の案内などを見て考えました。

 皆さんが普段からなされている作業は、自分にとってはすべてはじめてのもので、わからないことばかりでした。その中で一番に感じたことは、出版業界は、人間の手によってなされている作業がとても多いということです。それは、人と人とのつながりがとても重要な世界であるということにつながると思います。皆さんのお話を聞く中でも、また実際自分が打ち合わせなどに同席させていただいた際にも感じた事ですが、うわべの関係ではなく、もっと深い部分で人が関わりあって成り立っている社会であると感じました。お互いに信頼関係がないと良い
ものをつくることはできないし、逆に真に素晴らしいものは、そのような土台のもとで成り立っているということを実感しました。
 残りの実習も、よりたくさんのことを学びたいと思います。

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