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2010年08月09日

インターン実習日誌-1(国立音大Sさん)

アルテスはNPO法人「音楽キャリア・サポート・ネット」の音楽インターンシップ・プログラムに協力していますが、先週は国立音大3年のSさんが来てくれました。週末に「実習日誌」を送ってくれましたので、本人の許可を得て、公開させていただきます。ぼくたちにとっては、日常的な業務でも、大学生には新鮮なんだなということがあらためてわかって、ぼくらもかえって勉強になります。

[木村]


◎8月3日火曜日<1日目>
 インターンシップの1日目ということもあり、緊張しながら会社にむかいました。
 まず初めの仕事は、注文された本の発送をしました。皆さんは普通の事務作業として簡単に行っているはずなんですが、私の手にかかるとそうはいきませんでした。発送先の名前の漢字が旧字で分からなかったり、「さぁ、印刷しよう!」と思ったらインクが切れて近くの電気店に買いに行ったりして、たった1冊の本を送る作業を長時間格闘していたんではないかと思います。時間がかかったこともあり、これが初めての仕事だったので、かかった時間はもちろん届きはしませんが、これが注文された方の手に届くのかと思うと、とても嬉しく思いました。
 午後はいま編集中の冊子にかんして、掲載する会社や財団の役員名などの名称に変更がないかを調べました。この日は、この仕事を最後まで終えられずに1日目を終えました。


◎8月4日水曜日<2日目>
 午前中は途中、昨日覚えた発送作業をしたり、昨日終わらせることの出来なかった調べの続きをしました。
 午後は小野さんの営業に同行させていただきました。最初、銀座のヤマハへ行きました。「営業」という言葉はよく聞きますが、初めてのことなので楽しみにしながらむかいました。ヤマハでは店頭に本が並んでいるかを確認したり、担当の方に挨拶をしたりしました。その後、山野楽器や丸善に行きました。電車の移動中に小野さんから現在の出版業界についてのお話を伺い、書店別の売上ランキングなど見せて頂きました。まず、書店の多さにも驚きましたし、一部の地域に書店が集中していることにも驚きました。生粋の香川県民として18歳まで香川で生きてきた私は、恥ずかしながら宮脇書店しか知りませんでした。もしかしたら、宮脇書店以外の書店へ行ったこともあるのかもしれませんが、自身の認識としては「本屋さん」とくくって考えていたところがありました。
 そのあと、小野さんのご紹介で音楽之友社のIさんにお会いし、お話をうかがいました。本の知識も出版業界の知識もない私にとって、とても貴重なお話でした。音楽之友社がどのように成り立ってきたのか、他の出版社との違い、更には現在の出版業界の現状などを教えてくださいました。もちろん難しい話も多々ありましたので、全て理解出来た訳ではありませんが、丁寧に分かりやすくお話してくださったこともあり、自分なりに考えることができました。時代の変化に対応することの難しさを痛感しました。そしてこれは出版業界のみならず、どの業界にも見られることだろうと思いました。このような問題を真摯に受け止め考えている人たちが今の社会をつくっているんだなと思いました。

◎8月6日金曜日<3日目>
 午前中は実際に雑誌に載る写真を選ぶために、写真を選ぶ作業をしました。何十枚の写真からたった3枚の写真を選ぶ作業ですが、皆さんで様々なことを考慮して選ばれてました。より良いものを作ろうという思いがそこからもひしひしと感じられました。実際にいつもこのように進めているんだと思うと、1冊の本を作ることの大変さも感じました。
 午後は調べの続きをしました。やっとこの日に終わらすことが出来たのですが、この作業を通して企業名をたくさん知ることができました。資本金〇億などと検討もつかない額がかかれていると、どのようにお金を使っているのか会社の運営がとても気になりました。普段ブログなどをみることはあっても、会社概要の役員をみるようなことはありません。もちろん会社を取り締まる立場にいる方々と関わる機会も全くありません。音楽に対してこんなにも多くの人たちが関わるということをより深く感じ、とてもうれしく思いました。
 印刷方法などについても教えて頂きました。カラー刷りの場合は版画のように重ねてたくさんの色を出していると伺いました。昔の印刷の方法ではなく、今もその手法を使っているそうです。私はプリンターのようなものを想像していたので、その手法を使って今もつくられていると聞いた時は驚きました。しかし、とてもうれしく感じました。うまく説明できませんが、書籍らしさを感じたからです。私にとって書籍は過去の伝達手段に感じているところがあります。アナログと言えば簡単なのかもしれませんが、その言葉では言い表せないよさが書籍にはあると思います。デジタル化が進む中でも、書籍を手に取る人がいる所以だと思います。とても大切にしなければならない文化だと感じました。それと同時に、もっと出版業界について勉強しなければと思いました。

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