青澤隆明(著)『現代のピアニスト30──アリアと変奏』(ちくま新書)

青澤隆明(著)『現代のピアニスト30──アリアと変奏』(ちくま新書)

アルテスもN響のお仕事などでたいへんお世話になっている音楽評論家・青澤隆明さんが待望の単著を刊行。このタイトルに、昨年亡くなり、今年生誕100周年を迎えた吉田秀和さんへの深いオマージュを感じるのはわたしだけではないでしょう。詩的で繊細な青澤さんの文章を敬愛するわたしは、吉田秀和さん亡きあと、音楽評論を文学に昇華させてくれるのは青澤さんではないかとひそかに思っていました。その音楽への透徹した鋭い眼差しもまた──。夜更けにひとりピアノを聴くとき、座右に置きたい本です。

[木村]