A. M. エーブル(著)、吉田幸弘(訳)『大作曲家が語る音楽の創造と霊感』(出版館ブック・クラブ)

A. M. エーブル(著)、吉田幸弘(訳)『大作曲家が語る音楽の創造と霊感』(出版館ブック・クラブ)

「霊感」という観点からの作曲家論として話題をよんだ『我、汝に為すべきことを教えん』(春秋社)が、改訳をほどこされ再編集されて再出版されました。アメリカの音楽雑誌の特派員だった著者が19世紀末から20世紀初頭にかけてブラームス、R. シュトラウス、プッチーニ、フンパーディンク、ブルッフ、グリーグといった大作曲家たちと対話をおこなった貴重な記録。「インスピレーション」という微妙な領域に焦点をあてており、著者の宗教観が色濃く反映しているため、ちょっと「色物」的にとられがちな本ではありましたが、作曲家の生の声を伝えているという点では価値ある書物だと思います。

[木村]