石田一志(著)『シェーンベルクの旅路』(春秋社)

石田一志(著)『シェーンベルクの旅路』(春秋社)

ついに刊行! 石田一志さんが『レコード芸術』で2006年から昨年まで5年間にわたって連載していた「シェーンベルクの旅路」が単行本になりました。石井さんといえば、昨年、やはり春秋社から刊行されたデイヴィッド・コープ『現代音楽キーワード事典』の筆頭訳者でもあり、近年のお仕事の充実ぶりは瞠目すべきものです。

近代西洋音楽を築いた巨匠たちの音楽的精華を総括してその優れた継承者たらんと望みながら、一方では自ら「芸術家の掲げる唯一、最大の目的は自己表現」と言い切って、自己への真実性の追求の結果、ついに近代西洋音楽の最大の特徴であった調性の引力から脱し、不協和音を解放したシェーンベルク。しかも、離脱のうえでなお伝統の継承者としてその特徴を新たに融合し、現代的な協調の可能性を模索し続けたシェーンベルク。その人となりと作品を追ってみたのである。(「あとがき」より)

いまだ近代西洋音楽最大の問題のひとつであるシェーンベルクを知ろうとする者は、まずひもとくべき一書であると思います。

[木村]