伊藤康英(編曲)/ホルスト《第1組曲》より〈シャコンヌ〉(『バンドジャーナル』8月号)

7/10発売の『バンドジャーナル』8月号の付録楽譜は、伊藤康英さん編曲のホルスト〈シャコンヌ〉。同誌編集長の大高達夫さんから以下のようなご案内をいただきましたので、紹介させていただきます。

バンドジャーナル8月号(7月10日発売)の付録楽譜は、 ホルスト第1組曲から㈵シャコンヌなのですが、 このスコア、ホルストの自筆スコアをもとに、 伊藤康英先生が校訂したものなんです。 伊藤先生のサイト= http://www.itomusic.com/

この自筆スコア、以前は所在不明だったのですが、
現在は大英図書館が所蔵しており、閲覧可能になっております。
そこで、この5月に伊藤先生がロンドンに赴いて、実際に確認してきました。
この顛末については8月号にエッセイとして紹介しております。

どこが違うかといいますと、
1・編成が違う
現在広く使われているコリン・マシューズ版など、
これまでの版は、ホルストが指定した編成になってません。
時代の要請に応じて、さまざまな楽器が追加・削除されています。
特に、ホルストはユーフォニアムとバリトンを別々に独立したパートとして
書いているのですが、現在はバリトンパートが削除されております。

2・スコアの書き方が違う
実際にスコアをご覧になればお分かりになると思いますが、
ホルストは上から木管の高音から低音、金管の高音から低音、打楽器という
順でスコアを書きました。ですので、フルートとオーボエの間にエスクラが、
また、ホルンとトロンボーンの間にバリトンのパートが書かれています。
こうした違いがなぜ大事かと言うと、ホルストが書いたスコアが
「見た目にも美しい」ように書かれているのに、
順序を入れ替えるとその美しさが分かりにくくなるからなのです。

その他、これまでの版での間違いなどを修正し、なおかつ現代の吹奏楽で
演奏可能なスコアを、校訂報告と楽曲分析つきで付録にしました。
引き続き、10月号に㈼インテルメッツォ、12月号に㈽マーチを掲載予定です。

また、7月21日には、
ダグラス・ボストック指揮洗足学園音楽大学グリーン・タイ・ウィンド・アンサンブ
ルが、
この研究成果を取り入れた第1組曲の演奏を行ないます。
コンサート情報=
http://www.senzoku.ac.jp/music/concert/2010/program_1007/0721.html

雑誌の付録楽譜って、ある意味その分野の「最新情報」的な性格もあって興味深いです。興味をもたれた方はコンサートにもぜひお運びください。

[木村]