新実徳英(著)『新実徳英の作曲入門』音楽之友社

新実徳英(著)『新実徳英の作曲入門』音楽之友社

『教育音楽 中・高校版』2006年7月号から2009年5月号まで連載された「新実徳英の作曲入門──音を聴く、考える、作る」が本になりました(書き下ろしでの増補も含みます)。

いささか個人的な話になりますが、高校時代に新実さんの合唱曲《やさしい魚》を歌っていらい、天性のメロディメーカーとしての新実さんに憧れ、作曲家になることを夢みたことも。編集者になってから、縁あって新実さんの随想集『風を聴く、音を聴く』(題字はこれまた尊敬する哲学者・今道友信先生に書いていただきました)を担当することができたのですが、本が完成したのち、新実さんに提案したのが、「若い人に向けての作曲入門書」でした。

忙しい新実さんに確実に執筆していただくために、『教育音楽』の岸田編集長の協力を得て連載の枠を確保してもらい、どんな内容にするかを話し合うために、蓼科にある新実さんの別荘を訪れ、にわか作曲レッスンをつけていただいたことなど、懐かしく思い出されます。連載が始まった翌年、諸事情あって会社を辞めることを報告したときの新実さんの「あーっ!」という溜息が忘れられません。

それから3年。音楽之友社の若い編集者、上田友梨さんが本を完成させてくれました。自分が担当したのは第1章の途中まででしたが、蓼科でお酒を飲みながら語らったアイディアが花ひらき、ときには思いもかけないかたちに発展しているのを見るのは、嬉しい驚きです。ぜひ多くの方々に読んでほしい1冊です。

[木村]