渡辺裕『サウンドとメディアの文化資源学──境界線上の音楽』(春秋社)

渡辺裕『サウンドとメディアの文化資源学──境界線上の音楽』(春秋社)

日本音楽学会現会長でもある著者が、全国大会を目前に、巨冊を世に送ってくれました。本文510ページ+資料42ページ! まえがきを読むとこんなことが書いてあります──。

……自分の関心が、周囲にいる「音楽」研究者とどこかずれている、そんな感じを拭えなくなってきたのである。私が感じていたのは、端的にいうなら,「音楽」というものがあり、それを「音楽」という概念で捉えることを自明と思っているようなあり方に対する違和感であり、それに対して「音楽」という概念それ自体をもう一度白紙に戻した地点から議論をやりなおしたい、自分の奥底にそんな欲求があることがはっきりと意識されるようになってきたと言ってもよいかもしれない。

自分とこの会のボスにこんなこと言われたら、どうしますか?(笑)

「音楽学」をいったんカッコに入れて再構築する壮大な一冊。心して読みたいと思います。

[木村]