ビデオ×アート、コンピュータ×アート、情報×アート。
日本の技術革新とともに進化してきた“今いちばん熱い芸術”を一望する。
草月アートセンター、大阪万博、つくば科学博、ARTEC、セゾン文化、ARTLAB、ICC、そして大学教育のなかで──
芸術家たちはテクノロジー/マスメディア/社会といかにして切り結び、芸術表現を生み出してきたのか。
新進気鋭の研究者による待望の通史が登場!
坂根厳夫(情報科学芸術大学院大学[IAMAS]名誉学長)
第二次世界大戦後に生まれたテレビやコンピュータなどのメディア技術が、戦後の日本で多彩なメディアアートにまで育っていった経過を、当時を知る人々を海外にまで訪ねて取材し、世界的な視野から詳しく検証してまとめあげた名著である。
吉見俊哉(東京大学大学院情報学環教授、東京大学副学長)
芸術はメディアだ。
60年代に爆発的に広がったこの発見がたどる歴史を、同時代人の無数の証言から鳥瞰する。見えてくるのは、メディアアーティストが国家や企業、大学との間で繰り広げてきたスレスレのドラマだ。
正誤表(2015/09/16更新)
プロフィール
馬 定延(マ・ジョンヨン)
1980年韓国ソウル生まれ。
韓国延世大学人文学部(英語英文学、心理学)および韓国中央大学尖端映像大学院修士課程(芸術工学)を経て、東京藝術大学大学院映像研究科博士課程(映像メディア学)を卒業。
現在、東京藝術大学非常勤講師および国立新美術館客員研究員。
CONTENTS
序章
第1章 起源としての実験
前衛芸術という思想
テクノロジーの導入/草月アートセンターから万博へ/万博の前夜祭
日本万国博覧会
戦後日本社会と1970年/前衛芸術と企業/万博が残したこと
社会的メディアとしてのビデオ
コミュニケーションの方法論/1970年代に対する観点
第2章 アートにおけるコンピュータ
コンピュータアートの誕生
情報美学と川野洋/電子ヒッピーCTG/CG-ARTS協会
CGの新しい地平
SIGGRAPH、二人の日本人/ARTS ON COMPUTER
第3章 つくばという場
JAPAN TODAY
転換期の文化的アイデンティティ/真の日本
科学技術の国際競争力
科学技術立国/ニューメディア・ブーム
国際科学技術博覧会
映像博/1980年代の映像文化
メイド・イン・ジャパン
家電から電子立国へ/メイド・イン・ツクバ
第4章 80年代と90年代の連続性
アートとテクノロジーの現在
グループ・アールジュニ/1986年をめぐって
ARTECの10年
新しいビエンナーレの意味/万博を離れて/現代アート文脈の強化/メディアがアートを変える時/ARTECの遺産
第5章 情報社会における芸術
国と企業の間
西武・セゾン文化
時代精神の根據地/音と映像の情報発信館
ARTLABの遺産
新しい形態の文化支援/ARTLABの特殊性/10年間の活動
諸領域の相互疎通の場──ICC
ICCとは何か/過渡期におけるプレ活動/開館と現在の視点
終章
芸術と技術の統合によるデザインの研究/メディアの筑波派/芸術学科のない総合大学の中へ/メディアアート専門教育機関の誕生/情報化社会の芸術教育/文理越境による拡大/教育の場における創作と研究